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2012年4月 6日 (金)

「ありがと」をありがとう

3時の巡回で「ウンこでた」というMさんは、余期半年と診断されたばかり。昨日、家族と先生とでこれからどう見取りをしていくか話し合っていた。

56名の巡回を終え、「遅くなってごめんね」と言いながらMさんのところに戻れたのは40分後。オムツの中は、ミヨシさんが言うように不消化の軟便が盛りだくさん。肛門のただれもひどいのでお尻を丁寧に洗ってお薬をつける。ミヨシさんの表情も柔らかく、ホッとした様子で「ありがとうね」といつのMさんらしいほんのりとした笑顔。こちらもホッとする。

「どっち向いて寝ようか?」と聞くと、はっきりした声で「あっち」と壁側に目をやる。血行不良ですでに紫色に変色した足先に気をつけながら壁側に向きをかえ、布団をかける。「また、来るからね。寒くない?」と声をかけると「寒くない。ありがとっ」と返事。

1時間後、同室者のナースコールでトイレ介助にうかがう。トイレが終わるの待っている間、ふとMさんに目をやるとMさんの横顔に表情がない。手首、首筋、心臓と脈のふれるところを探すが脈がみつからない。

自分が介助した直後の心肺停止は6年の介護経験中でもはじめてだったので、手の震えがとまらず、最後に処置した様子を思い返しながら名前を呼び続けた。

またいつもの朝はやってくる。

Mさんのご家族に最後の様子を報告した。お孫さんが「最後の言葉がありがとうだなんて、おばあちゃんらしいね」とポロポロとこぼした涙をみたら私もポロポロってなりそうになった。娘さんが「お尻がきれいなって、おばあちゃん、安心したんだね」と言ってくれたので、ポロポロがボロボロになりそうになったのであわてて頭を下げて引き上げた。

人の最期に立ち会い、お見送りする責任をあらためて感じた出来事だった。

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